【ミカン箱5】マンガ大賞にノミネートされた作品群・1次選考作品 その3
昨日に引き続き、マンガ大賞にノミネートされた作品群について寸評しようと思う。
乗りかかった船である。もうやりきってしまおうと思う。
★★★★★
最近はやりのご飯系マンガ。
当職が読んだ中では、ご飯系マンガの中で一押しの一作。
絵柄はかわいい系であるものの、
展開の勢い、絵柄といい意味でのギャップを感じさせる大人な雰囲気、
妄想を絵にして視覚に訴える構成力、果ては顔芸など、
パワーゲームでグイグイ押してくるのであるが、
そのあたりのバランスが非常にいいため、押し切られてしまう。
パワーゲームができるのも腕である。
端的に、面白いといえるマンガ。
★★☆☆☆
ご飯系マンガの火付け役?
リアル路線の絵柄に、徹底してシュールな雰囲気は、
合う人には合うのかもしれないが・・・。
スーツ姿のおっさんが淡々と食事をする様は、確かに他の追随を許さない独自路線。
当職にはちょっと合わなかった。
ただ、当職の職場では、ひとときそのシュールさから本作が話題になった。
やはり、話題性としては相当なものがあるのかもしれない。
★★★☆☆
ミサイルの発射ボタンを押すとはどのような重みを持つのか、
ひしひしと伝わる臨場感があり、著者の腕を感じさせる。
ただ、どうにも展開が遅々としており、
単行本1巻あたりのストーリー密度は薄め。
もう少しスピード感を出してもらえるとより高い評価になると思うのだが。
冨明仁著「ストラヴァガンツァー異彩の姫ー」
★★★☆☆
ファンタジー系の剣劇マンガ。
デッサン力や人物を魅力的に描く腕については高く評価できる。
もっとも、一歩間違うと女の子が可愛いだけの漫画になりうる危険性を秘めており、
ストーリー展開にについてはあと一歩ほしいところである。
女の子が可愛い、というのは漫画、現実社会、いずれにしても重要なのではあるが。
コトヤマ著「だがしかし」
評価対象外
1巻だけ軽く読んだ。そのため、評価できるほどの読量がない。
ただ・・・なんとなく続巻を読む気にならなかったので合わなかったのだろう。
吉元ますめ著「くまみこ」
★★★☆☆
文字通り、くまと巫女のほのぼのコメディ。
決して悪いわけではないし、面白くないわけではないのだが、
振り切った要素がないため、当職としては少し物足りない。
読んで損をするような感じではないが、
かといって特筆するところもないように思った。
アレルギー反応が出にくいという意味では、万人受けしそう。
たかぎ七彦著「アンゴルモア 元寇合戦記」
★★★★☆
歴史戦争系漫画。
なんか色々と皇国の守護者を思い起させるキャラ、展開は、
当職としては嬉しいところなのだが、何か理由があるのだろうか。
そもそも、元寇あたりに着目した歴史漫画は少ないので、
今後もディープに描写していってほしいところである。
今のところ、歴史戦争系に興味がある方にはおすすめできる。
以前にも申し上げたが、皇国の守護者、続きやってくれないだろうか。
絶対に買うから。
東村アキコ著「雪花の虎」
★★☆☆☆
歴史系の漫画。
これまで散々と題材にされてきた上杉謙信が主人公であり、
なおかつ、上杉謙信女性説を採用したもので、
上記アンゴルモアと比べて、比較作品が多いことから勇気あるテーマ設定といえる。
中身であるが、率直に申し上げて、なんか物足りない。
すべて想像の範囲内であり、ぶっ飛んだところはない。
上杉謙信自体が、神秘性のある戦国武将であるから、
そちらに特化してもいいだろうし、
はたまた「人間」としての上杉謙信に迫るのもいいだろうし、
どちらでもいいのだけれど、なんか普通。
競合する作品が多い中で、これからどれだけ光を発することができるのかは期待。
田亀源五郎著「弟の夫」
★★☆☆☆
タイトルだけでも二度見してしまう異色のトランスジェンダー作品。
よくあるBL漫画とは一線を画する、同性愛者の家族を描いた異色作。
思った以上にまじめであり、
人権系の啓発に使用されてもいいのではないかと思うレベル。
その一方で、まじめが高じて漫画としての面白さはどうなのかとは思う。
もう、方向性がそっちなら当職から言うことはないが。
なお、1巻の表紙をとると、なんでその絵にしたのと思わざるを得ない絵が記載されている。
安田弘之著「ちひろさん」
★★★☆☆
問題作「ちひろ」の続編ともいうべき漫画。
絵は思った以上にちゃんとしていない、ちびまる子ちゃん系。
読みだすと気にならないが。
独特の雰囲気漫画なので、合う人には合うのかもしれない。
当職はあんまりぐっと来なかったというのが正直なところ。
きっと、当職が主人公「ちひろ」について、
前作からあまり共感できていないからかもしれない。
「ちひろ」が気に入った人は購入すべし。
★★☆☆☆
文字通り、魔物×少女という萌設定系の漫画。
絵柄は普通。
面白くないわけではないが、引き付ける雰囲気は感じられなかった。
設定や系統で好きな方にはアリかと思う。
同系統の漫画がお好みなら、暮石ヤコ著「ソマリと森の神様」もあるのでぜひ。
恵三郎・草水敏著「フラジャイル 病理医岸京一郎の所見」
★★★★☆
医療系の漫画は数多くあるが、病理医というところに着目した異色作。
専門の人から見たらどうなのかわからないが、
素人の当職が見る限り、内容はわかりやすく、絵柄はマイルド、
引き付ける展開などは高い評価が与えられて然るべき。
多くの要素において平均値以上のものがあるといえる。
山田参助著「あれよ星屑」
★★★★☆
太平洋戦争終結直後の日本を描いた漫画。
なんとなく雰囲気にマッチした絵柄や、妙なリアリティを感じさせる展開は、
上記テーマを生かすものとなっている。
暗いストーリーであるものの、無理なく陽気さも出しているあたり、
今後もっと高評価されるポテンシャルがあると思う。
当職がこっち系の漫画好きという偏向評価は否定しない。
★★★★☆
著者がマジモンの猟師で、どっちかというと漫画が副業という、
これ以上ないリアリティを持つ漫画。
日本でこんな生活をしている人がいるなんて。
山賊と書いてあるものの、ちゃんと法令順守しているみたい。
本人の体験をそのまま描くわけであるから、非常に勉強になるし、
説得力がすさまじい。
絵は若干拙いところもあるが、読むには問題ない。
ついでにいえば、話にもまとまりがあって非常に読みやすいというのもポイント。
こういう生活、大変なんだろうけどちょっとうらやましい。
竹良実著「辺獄のシュヴェスタ」
★★★☆☆
歴史残酷系漫画。
・・・が、思ったより残酷要素が低めの漫画。
はじめの勢いが最近はちょっと低迷気味かもしれない。
ライトな残酷系をお好みならおすすめできる。
過激な残酷系を読みたいなら、
沙村先生の「ブラッドハーレーの馬車」を読むか、
山本英夫先生の「殺し屋1」を読んでもらったほうがいいかも。
しかし、上記2作品はマジなやつなので要注意。
梅木泰佑著「あせびと空世界の冒険者」
★★★☆☆
コテコテのファンタジーだが、結構面白い。
ストーリーに安定感があるので、平置きを見て「ん?」となった方は
読んでみても損はしないと思う。
話の展開が良好なので、期待は裏切らないが、
漫画から漂う雰囲気はあと一歩。
河本ほむら・斎木桂著「賭けグルイ」
★★☆☆☆
「嘘喰い」をライトにした雰囲気の漫画。
上記「嘘喰い」にドはまりした層にはいけるかもしれない。
しかし、この手の漫画はだんだん何でもありになってくるので、
どんでん返しの迫力が希薄化してしまうのはどうにかならないのだろうか。
結局、なんかよくわからない逆転ゲームだと、
読んでいて「おおおお!」とならない。
ちょっと辛口すぎるかな。
山下和美著「ランド」
★★★☆☆
まだ展開がよくわからないので、どのようにカテゴリーしていいかわからないが、
ミステリー?というべき漫画か。
このあとどうなるのだろう、という吸引力はそこそこあると思う。
しかし、気になって気になって仕事が手につかない・・・というほどではない。
いや、気になっても仕事はしないといけないのであるが。
清水茜著「はたらく細胞」
評価対象外
1巻だけサラリと読んだ口の漫画。
白血球など体内細胞を擬人?化したものであるが、
うーん、なんともかんとも。
当職には合わなかったとしか言いようがない。
<小括>
冒頭にも記載したが、やりかけたのでとりあえず最後まで寸評させていただいた。
どうしも、好みに偏りがあるので、あくまで評価は主観に基づく。
少しでも諸賢の参考になれば幸いである。