【ミカン箱4】マンガ大賞にノミネートされた作品群・1次選考作品 その2

引き続き,マンガ大賞1次選考にノミネートされた作品のうち,

当職が独断と偏見で読み散らし,かつ独断と偏見で寸評を加える,

自己本位なシリーズを継続する。

 

志村貴子著「淡路百景」

★★☆☆☆

人間ドラマ系の漫画。

合う人には合うのかもしれないが,人間ドラマとしてもちょっとパンチが足りないように感じた。

アッサリ透明スープのラーメンを頼んだら思った以上にアッサリしていて物足りなくなった感じか。

当職には合わず。あんまり印象に残っていない。

 

松本次郎著「女子攻兵」

評価対象外

当職,松本次郎先生の漫画は非常に好きなのであるが,

この漫画だけはあまり継続して読んでいないのである・・・。

読量が少ないため評価対象外とした。

なんで読んでいないかと言われても非常に困るのであるが,

なんか初めの1,2巻を読んで,ちょっと違うかな,と思ったのが原因・・・。

いやいや,松本先生の漫画は素晴らしいのですよ。

面白くなかったから読まなくなったわけでは・・・。

イヤイヤ・・・。

 

浅野いにお著「デッドデッドデーモンズデデデデストラクション」

★★★☆☆

良くも悪くも浅野いにお先生の作風を全面に押し出したもの。

おやすみプンプン」などが合う人は是非とも読んで頂きたい。

相変わらず,独特の丁寧な絵柄と若干の狂気は浅野ワールドといえ,

浅野ワールドに期待する人には十分おすすめできるところである。

ただ,当職の求める狂気とはちょっと違うところがある。

もうちょっとシュールな感じの方が,当職は好きかもしれない。

なお,浅野いにお先生の漫画の中では,

当職「ひかりのまち」が一番好みである。あわせておすすめしておく。

 

おざわゆき著「あとかたの街」

★★☆☆☆

戦時中の銃後の人々を中心に描かれた漫画。

当職としては,好きな時代設定であるし,着眼点はいいものの,

優しすぎる絵柄と相まって,どうにも戦時下の陰惨な雰囲気が今一つ。

ストーリーも,想定の範囲内の残酷さというか,

予想外の地獄はなく,迫力に欠ける。

 

大久保圭著「アルテ」

 ★★★★★

万人受けしそうな絵柄に,思った以上のスポ根系の爽快ストーリーは,

当職のみならず,多くの人を虜にしてもいい漫画。

なんとなく「ロミオの青い空」を彷彿とさせる時代背景は,

さらに当職の好みとするところである。

ほんの少しだけ読者の期待を上回る展開が続き,読んでいて気分がいい。

今後の展開にも十分期待できる。

全てにおいて高水準の漫画。

全然関係ないけれども,大人になってから「ロミオの青い空」を見て泣いてしまった。

子どものころは泣かなかったのであるが。

おっさんになると涙腺が緩むのか。

あわせておすすめしておく。

 

中島三千恒著「軍靴のバルツァー

★★★★★

★5つは当職の好みであるというところが大きいか。

以前にも少し紹介したが,ナポレオン時代あたりの本格ミリタリー漫画は少ない。

長谷川哲也先生の「ナポレオン」は中身がちょっと北斗の拳すぎるし・・・。

丁寧な仕事振りは非常に好感が持てる。

ミリタリー好きにはおすすめできる。

 

雨隠ギド著「甘々と稲妻

★★☆☆☆

ごはん×子ども×JKという最近のトレンドにはガッツリ合致した漫画。

・・・が,当職の好みにはどうにも合わなかった。

子どもと向き合うなら向き合うでいいし,

徹底して飯に取り組むなら取り組むでいいし,

JKと恋愛?するならそれはそれでいいし・・・・

なのだが,どれもこれも当職の求める要素を振り切る部分がない。

いや,トレンドからすればそのような漫画のほうが売れるのかもしれないが。

 

佐々大河著「ふしぎの国のバード」

★★★★★

以前にもご紹介した未完漫画のエトワール。

丁寧な仕事振りと,人文地理,民俗学に着目した着眼点は素晴らしい。

素材を上手く生かしていると思うところである。

最近発売された2巻も大変良かった。

是非ともこの調子でやってほしい漫画。

話の内容や絵柄などから,

今後「万人受け大賞」にランクインしてもおかしくないと思っている。

ただ,続巻ペースが遅いのが・・・。

 

曽根富美子著「親なるもの断崖」

★★★★☆

人身売買,廓をテーマにした作品。

色々と昔の雰囲気を漂わせているが,読みだすと手が離せない吸引力がある。

どうにも救われない雰囲気,陰惨なストーリーは一見の価値あり。

もっとも,後半に至ってちょっとよくわからない感じになったので,

★を1つ減らした。

 

入江亜希著「乱と灰色の世界

★★★☆☆

エンターブレインのファンタジー。

特段悪いようなところは見当たらないし,

面白いと言えば面白いのだが・・・・。

一言で足りないところをいえば,「雰囲気」かもしれない。

絵も下手で,ストーリーもあんまりな漫画でも,

ときにグイッとくる雰囲気を有しているものがある。

この漫画,絵もストーリーも構成も悪くはないのだが・・・。

 

<小括>

せっかく一次選考作品の寸評をはじめたので,もうやりきってしまおうと思う。

しばしお付き合い頂きたい。