【ミカン箱2】マンガ大賞にノミネートされた作品群・ランキング入り作品について

毎年,一定期間内に単行本が発売された8巻以内の漫画について選考されるマンガ大賞

このマンガ大賞については,一部,売りたい漫画がノミネートされているのではないかとの批判もある。

 

果たして,大賞を得た作品は面白いのか,上位漫画は面白いのか。

検証の必要性があろう。

 

なお,当職は,一介のマンガ好きに過ぎないので,ノミネート作品全部を読んでいるわけではない。

そのため,寸評,紹介作品に偏りがあると思われる。

当職の趣味趣向に基づくものであり,あしからず了解されたい。

 

<大賞>野田サトル著「ゴールデンカムイ」

★★★☆☆

現在,ヤングジャンプで連載中の漫画。

金塊を巡るミステリー系の内容である。

絵柄は結構マイルド。シリアスかと思えば,随所にコミカルな要素を交えているあたりが万人受けしそうな仕上がりになっている。

・・・が,当職としては,ちょっとパンチが少ない漫画のように思う。

ミステリーならミステリーで,もっと謎めいた感じがしてもいいと思うし,

陰謀系なら陰謀系で,もう少し…という風に,

どの要素をとっても振り切れたところが無いように感じた。

及第点は与えられると思うが,ドはまりする狂気性は希薄。

あんまりヤバい作品を大賞にするのは無理なのかもしれないので,

「万人受け」という意味での大賞受賞なのか。

 

<2位>九井諒子「ダンジョン飯」

★★★★☆

一言でいえば,「綺麗かつ上品な魔法陣グルグル」といった感じ。

なんとなく王道RPGを思わせる世界観は,

子どものころ初めて魔法陣グルグルを読んだ時の心地よさに似ている。

絵は可愛い系だがしっかりした描きこみがなされている。

大賞受賞作品紹介の際にも少し触れたが,

上位漫画なだけあって誰が読んでもアナフィラキシーショックを催さないであろう,

マイルドかつ及第点以上の漫画。

この手の賞では万人受けする系の漫画が上位に入るのであろうか。

ゲーム的ファンタジー漫画は好きだけれども,最近流行りのネットゲーム内に紛れ込んでしまった系の漫画は堪忍,という方にはおすすめできるかも。

なお,魔法陣グルグルは,初期のころ絵も拙く,物語も行き当たりばったり感があったが,それを差し置いても独特の良い雰囲気があった。

中盤以降,だんだん絵も安定してきたが,それに伴って初期に備わっていた雰囲気も失われていってしまった。

はてさて,面白い漫画とは難しいものである。

 

<3位>石塚真一著「BLUE GIANT」

★★★★★

先日もご紹介したが,絵と文字で音を表現することのできる,

高い構成力の漫画。

詳細は前回の当職紹介記事に委ねるが,

まずもって面白いと言える。

 

<4位>三部けい僕だけがいない街

評価するほど読めていない。

当職,1巻をさらりと読んだだけなので,評価できるほどの読量がない。

ただ,以降読んでいないので,当職には合わなかったのかも。

 

<5位>全く読んでおりません。

 

<6位>沙村広明「波よ聞いてくれ」

★★★★☆

やっと,精神を加速させている系の漫画が登場。

ご存知のとおり,「無限の住人」で有名な沙村先生の作品。

ちょっとガサガサした絵柄は,作品の雰囲気にマッチしている。

ラジオをテーマにしていることもあっての怒涛の台詞回しは,

沙村先生ならでは。

会話の一言一言をじっくり味わって読んで欲しいところである。

全体的にシュールな雰囲気,ちょっとした狂気を秘めた登場人物たちは,

当職の好みとするところである。

ちょっと試し読みをしてもらって,興味を持ったら買ってもいいと思われる。

合わない人には合わないかもしれない。

 

<7位>眉月じゅん「恋は雨上がりのように」

★★★★☆

以前,少しだけご紹介した。 

JKがおっさんに恋する漫画。

上品な作品構成と,妙な力押しがないから読みやすい。

絵柄はマイルド系。萌や劇画系ではない。

ただ,最近の雰囲気からして,ちょっとヤマの作り方がどうかなーと思うところがある。

平々凡々とした優しい雰囲気の漫画ではあるものの,

決定的なヤマがないまま現在に至る感じである。

イレギュラーな恋愛をテーマにしているのであるから,

太平楽なことばかりではあるまい。

もう少し,揺さぶりがあってもいいのでは?と個人的には思うところである。

 

<8位から11位>

大変恐縮であるが,読んでいない。

 

<小括>

読んでいない作品も多いため,何とも言えないところがあるが,

総じて,各要素に振り切ったところがあまりない,アレルギー反応を起こしにくい漫画が多いように思った。

辛口にいえば,「面白くないことはない」と述べるにとどまり,

端的に,個人的にであっても「面白い!」と断定できる漫画が少ないように感じた。

確かに,ランキング入りするということは,それだけ多数人の支持が必要なのであろうし,そうなると狂気じみたニッチな層にのみ受ける漫画が影をひそめるのは必然である。「万人受け大賞」とでも題するべきか。

 

読んでいない漫画があるのでどうかとも思うが,当職としては

<大賞>石塚真一著「BLUE GIANT」

としたいところである。

 

なお,また今度,別の記事において1次ノミネート作品の中からもご紹介申し上げたい。