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【漫画の処方箋】山本英夫著「殺し屋1」

先日,CGで作られた表現物が児童ポルノに該当するとする地裁判決が出た。

当該CGは,極めて精巧なものらしく,実物と見まがうほどであるという。

これに対して,作者側(被告人)は,CGは創作物であり児童ポルノではないと主張した。

 

結果は有罪。

猶予付判決であるものの,懲役刑が選択されたあたり,結構重い判決であろう。

 

これまで,実在する児童を対象としなければ児童ポルノとして起訴されておらず,

CGを児童ポルノとした点は画期的であるといえる。

この事件の特徴は,実際の児童ポルノを参考にCG化したものという点であり,

必ずしもエロゲームの類一般に規制がかかる判決ではないと思われる。

まだ日本では,完全な創作物についてはいかにリアルでも合法であると判断される余地が多いと思われるのである。

 

CGが児童ポルノとして規制されるかどうかは,

今後議論の余地があると思われるが,

当職としては正直どうでもいい。

 

当職が本記事にて述べたいところは,

表現物の威力,である。

かつて,とある小説がわいせつ物に該当するのではないかとして最高裁で争われたこともあるが,

小説やCG,漫画も,その創作が極まれば,読み手の想像力を借りて,

法の規制が及ぶほどに達するのである。

 

法的な問題はともかく,

国家が規制しなければならないほどの表現物を作出するというのは,

創作者として賞賛に値するのではなかろうか。

 

今回ご紹介する漫画,山本英夫著「殺し屋1」は,

アカン方の意味である種の創作物の極致にあるのではないかと思われる作品である。

その表現力は賞賛に値すると当職は思うのであるが,内容が内容なので,手塚治虫系の賞を授与するなどは論外の作品である。

健全な青少年に勧めるなど,狂気の沙汰である。

 

勿論,アカン方にすごい漫画であるから,

服用に際しては,成分をよく読んで,用法用量をしっかり守らないと,

場合によってはショック症状を呈するかもしれないので注意が必要である。

 

<成分>

絵柄 ★★★★☆

過度な誇張がなく,かといって萌絵でもなく,また劇画でもない。

確かなデッサン力に裏打ちされ,ガサガサしていない絵柄は,作品の雰囲気を壊さない。

また,ぐちゃぐちゃの絵を描いてエグさを表現するという感じでもない。

高い評価が与えられること必至。

 

ストーリー(筋道) ★★★★☆

核心部分によくわからないところもあるが,一本筋の通ったストーリーは寄り道を感じさせない。

漫画全体を通して1つの映画のような感じを覚えさせる。というか映画になってるわ。

核心部分が謎なのは,突き詰めれば世の中そんなもんだから。

 

表現内容 ★★★★★+★

反社会的な内容。

よくもまぁこんなとんでもないことを考えたと思わせる表現。

想像力を全部使ってえぐい事考えてと言われてもそこまで考え付くかわからんレベルの表現力は,私含むパンピには刺激が強すぎる!

しかも,絵でグロさエグさを過剰表現すると言う感じではない。

むしろ,絵の具合は淡々とすらしている。

嗚呼,★6つ。

 

狂気 ★★★★★

狂気に満ちています・・・・が,変なリアリティがあるので余計に怖い。

現実的な狂気といいますか,そのあたりの描写力はただ事ではない。

 

<ここが凄い!>

この漫画の凄いところは,「予想の斜め上」でしょうか。

本当に,よくもまぁそんなこと思いつきますな,と思う現実的狂気が全巻通じて満ちております。

しかも,前述したとおり,ストーリーがしっかりした漫画なので,

ヤバいと思いながらも次の巻を手にしてしまう,吸引力があるのです。

時間泥棒になること必至。絵柄が変に読みやすいところも憎い。

とんでもない問題作であろうが,ある種の名作であるところは間違いない。

当職の太鼓判であります。

 

<用法のご注意>

読みだすと止まらなくなる可能性が高いですが,一度に読み切ってしまうと余韻でこっちがおかしくなってしまうかもしれません。

くれぐれもグロ,反社会性に耐性のない方はオーバードーズにご注意ください。

読み終わった後,社会常識って何?ってなるかもしれません。