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【漫画の処方箋】吉田基己著「夏の前日」※若干ネタバレ

※ご紹介にあたり,若干のネタバレがあります。ご注意の上お読みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当職が初めて当漫画を手に取ったのは書店の平置きであった。

書店員作成にかかるポップに「超おススメ!!」なる趣旨の記載があり,当職は,ほぅ,と小さな奇声を上げて手に取ったのである。

 

若干古めかしい雰囲気の表紙は当職好みであった。

おそらく恋愛物の漫画であろうと読み取れる雰囲気である。

はじめだけ試し読みが許されるタイプの平置きがなされている。

試し読みがあるのは嬉しい。大抵の漫画は,初め少し読めば,自分に合うか合わないかの判断ができるからである。

 

少し読んだところで,当職は驚愕した。

なんと,読み始めて早々に,主人公とヒロインがまぐわったのである。

試し読みのレベルで,である。

 

恋愛漫画といえば,接吻まで焦らし,さらに契るまで焦らし,やっと結ばれたあたりでクライマックスというのが王道であろうか。

ところが,当漫画,何を思ったのか,普通の漫画ならば後生大事にとっておくはずの交合シーンを,惜しげもなく披露したではないか。

 

当職は,まず1つの可能性を疑った。

単なるエロ漫画ではなかろうかと。

 

しかし,書籍の雰囲気,まぐわいの描写から,昨今青少年のために規制されるべき過剰な演出は認められなかった。

 

もう1つの可能性を考えた。

これは,著者の我々読者に対する挑戦ではなかろうかと。

普通ならば,接吻等を1つの到達点としてストーリーを形成するわけであるが,この漫画は,先にそれを見せてしまう。それでも,漫画としての面白さを維持できるのであろうか。

作者の声が聞こえるような気がした。

「これからもっと面白いストーリー展開を魅せてやろう」と。

 

これは,著者の,当職に対する挑戦とみた。

 

当職は,この喧嘩(漫画)を買うことにした。

 

すぐに,全巻購入した。

 

 

 

 

 

 

ストーリー ★★★★☆

予測できない展開,細やかな人物描写など,高い評価を加えられて良い部分は多数あるといえる。

が,作者の挑戦であるストーリー部分は,辛くも★5つはつけられないというのが当職の見解であろうか。

決して流れは悪くないのだが・・・。

読んでみて損はない。が,何か物足りない気がするのは当職だけか?

 

絵柄 ★★★★☆

優しい絵柄である。性描写を含めて過剰な演出はない。

好みを選ばない,穏やかなタッチは漫画の雰囲気に合致する。人によってアレルギーを起こす可能性は低いだろう。

しかし,そこまで特徴的な絵柄ではないし,過剰な演出もないことから,読者層によっては物足りないか。

 

人物描写 ★★★★☆

漫画の雰囲気を醸し出すにあたり,これも優しい人物描写がなされており,闇金ウシジマくんに登場するようなありえない人畜などは1人たりとも登場しない。

ヒロインについては,当職の好みを聴取して設定したのかと思われるほどある種の理想的女性であり,かつ今までにないタイプの性格設定で,著者の力量をうかがわせるものである。

・・・・が,かといってもう一つパンチが効いてもいいような悪いような。

 

エロ ★★★☆☆

多少の期待は持って良いかもしれないが,青少年を惑わせるような過剰な演出なない。

大人のお姉さんがみんなこうではない,というあたりはフィクションか。

 

≪ここが凄い!!≫

この漫画の凄さは,のっけから交合させたり,「ちょっと通常では予測できないストーリー展開」であろう。

一般的な恋愛漫画であれば,なんとなく使い古された展開にデジャヴを覚えることも多いが,この漫画に限ってはほとんどそれはなかった。

そのため最後までどうなるのか全く予測できないまま,諸兄は最終巻を迎えることになるであろう。

なお,繰り返すが,ヒロイン女性の設定は,個人的に極めて秀逸であると思う。

 

総評 ★★★★☆

全ての評価において,平均値以上の評価が下されるべき,まさに「秀作」といえるべき漫画。

読んで損はない。

ただ,なんといいますか,パンチ力がないといいますか。

そこがこの漫画のいいところとも悪いところともいえます。

エロ描写も過剰ではないので,万民が読んでよろしい漫画ではないかと思われます。