読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

最近読んだ漫画に関する所見

やはり,恐れていた事態が出来した。

 

ブログの更新を怠ってしまったのである。

 

ある程度自分の性質は理解していたので,当ブログを作成したときも,

「あるいは・・・。」との危惧を有していたのであるが,

その虞が現実化してしまっていた。

全く不徳の致すところである。

 

ブログはサボっても,相変わらず漫画はせっせと読んでいる。

むしろ,あまり楽しいことのない日常生活において,

漫画を読むことは,当職の数少ない娯楽の一つである。

 

さて,久々の更新では,最近読んだ漫画について,

僭越ながらご紹介したいと思う。

 

【継続案件】原泰久著「キングダム」44巻

【評価】購読継続 ★★★★★

相変わらず手放しで面白いといえる漫画。

文句なしの購読継続。

 

【継続案件】中島三千恒著「軍靴のバルツァー」9巻

【評価】購読継続 ★★★★★

少し燻り気味の気配もあったが,新刊は話も展開し,早速次巻が気になるところ。

購読継続。

相変わらず丁寧な書き込みと適切な時代考証は良い仕事の典型。

但し,なんかそろそろ終わりそう?あと2巻ぐらいで完結するのかな。それはちょっとさびしい。

 

【継続案件】涼川りん「あそびあそばせ」2巻

【評価】購読中止 ★☆☆☆☆

1巻は表紙の雰囲気を裏切るシュールな笑いで期待値大であったが,2巻に来て株価が大幅下落。なんか笑いの切れ味が落ちたというか,雰囲気が変わったというか。

以後,評判が良くならない限り購読しない予定。

 

【継続案件】鬼頭莫宏著「双子の帝國」2巻

【評価】様子見 ★★★☆☆

悪くはないが,かといって強い引き込みまでは感じない。

次巻は買うような気がするが,次巻で引き込みがなければ購読中止もあり得る。

というか,鬼頭先生には塩漬け案件の「終わりと始まりのマイルス」の続きを書いていただけないだろうか。

 

【継続案件】羽海野チカ著「三月のライオン」12巻

【評価】購読継続 ★★★★☆

丁寧で良い雰囲気の漫画。保存状態の良さはそのままに新刊が出たわけであるが・・・。

最近どうもストーリーの着地点が見えないあたりは少々不満。

話自体は面白いし,見ていて飽きない漫画なのだが,あれってどうなったの?と言う部分が結構残っている。

せっかく良い漫画なのだから,話の筋をもう少し見せてくれてもいいような気がする。特に,続巻ペースが遅いので尚更である。

 

【継続案件】都留泰作著「ムシヌユン」3巻

【評価】様子見 ★★★☆☆

かの名作「ナチュン」に期待して本作を継続購読しているわけであるが・・・。

どうも様子がおかしい。ナチュンほどの引き込みがなく,ただただよくわからない展開になってきた。

ナチュンの時もよくわからないのはよくわからなかったのだが,わからないなりにワクワクがあったのであるが・・・。

次巻は多分買うが,次巻でダメならもう買わないかも。というか,そうこうしているうちに完結しそう。

 

【継続案件】眉月じゅん著「恋は雨上がりのように」6巻

【評価】様子見 ★★☆☆☆

1巻が良かったので,惰性で6巻まで買ってしまったが,4巻ぐらいから以降失速の気配が強い。

恋愛としてのヤマもタニもあまりなく,オッサンとJKの恋という非常識極まるテーマを描いているのだから,もっと攻めていいような気がする。

変なところで常識的であるため,物語に盛り上がりがない。

かの「うさぎドロップ」なんか,最後は・・・いや,これ以上はやめておこう。

 

【新規案件】イイヅカケイタ・奥浩哉著「GANTZ:G」1~2巻

【評価】購読継続予定 ★★★☆☆

ガンツも初期から後期まで絵柄が結構変わった漫画だが,このスピンオフ漫画は良くも悪くも「古き良きガンツ」を踏襲した形式の漫画。

絵柄も古いガンツのようだし,話の展開も古いガンツといった雰囲気。

原作ガンツの雰囲気を引き継いでいるという点では良いスピンオフの部類だと思われる。

ただ,本家ガンツの方が宇宙まで行ってドンパチやったわけであるから,このまま続けていくとマンネリになる恐れあり。

ガンツの代紋でどこまでオリジナリティが出せるのか期待。

 

【新規案件】高野ひと深著「私の少年」1巻

【評価】購読継続予定 ★★★★☆

本屋の平置きから衝動買いした漫画。

平置きの説明POPでは,30代お仕事系の女性と美少年(小学生?)の恋愛もの・・・という,夢設定ガチ盛の漫画である旨ご紹介であったが,1巻ではまだ大人のお姉さんが青少年育成条例を恐れずに美少年のお世話(下の世話ではない)をしただけ止まりだった。

なお,まだわいせつな行為は一切ないため刑法典に抵触することはないが,今後接吻でもしようものなら,この少年が13歳未満という設定であれば問答無用で強制わいせつ罪が成立する(刑法第176条参照。児童の同意があっても構成要件を満たす。)。勇気あるOLである。

設定が非常識な割に話の展開が常識的なので,次巻は買います。

 

【新規案件】霧島まるは・琥狗ハヤテ著「左遷も悪くない」

【評価】1巻完結 ★★★★★

本当に偶然買った漫画。

原作があるらしく,原作ではコミックと異なり続きがある模様。コミックはなぜか1巻で完結した。当職は原作の存在すら知らず,たまたま良さそうだったので買っただけであり,原作を読んでいない。

絵柄はマイルドで話も簡潔だが,最近買った漫画の中では非常に高評価の部類。

顔も見ずに勧められるがまま結婚した二人が愛を育む様は,ストーリーに大きな起伏がないにもかかわらず引き込みが強い。

何の宣伝もなく,新刊であるにも拘らず平置きですらなかったので,もっと宣伝していいんじゃないかと余計な心配をしたぐらいである。

もし続きが出るなら絶対に買う。

 

【新規案件】桑原太矩著「空挺ドラゴンズ」

【評価】購読継続 ★★★★☆

ネットのお試し読みを見て買った漫画。

買った理由は絵柄が漫画版ナウシカっぽかったから。

たぶん,作者は当職と好きな漫画がかぶるのではと思い,感性の近さに期待して購入。

買って読んでみると,やはりというべきか多分この作者は思った以上にジブリ好きなんじゃないかと思う。絵柄は漫画版ナウシカ臭いがストーリーはラピュタ臭い。

正直言って漫画自体のオリジナリティは低めだが,感性の近さに期待して購読継続予定。

 

 

いやはや,自らの根気のなさに呆れる次第であるが,

また思い出したらちゃんと書こうと思っている。

 

 

 

 

 

 

 

【マンガの処方箋】椎名高志著「GS美神 極楽大作戦」

当職、少し反省している次第である。

先月、マンガ大賞関連の作品を多数寸評させていただいたが、

廃人同然の語彙力で、

「雰囲気が~」「グッとこない~」「あと一歩~」

などと、抽象的表現を多発し、

まるで競馬新聞の事前寸評レベルのよくわからなさである。

寸評というにしてもあまりに稚拙な表現で大変申し訳ない。

恐懼している次第である。

 

じゃ、その抽象的な内容を具体化してくれよ、

という話になるのはよくわかるのだが、

こればかりは何とも難しい。

 

今後の課題として、鋭意努力しようと思うところであるが、

一朝一夕でどうにかなる問題でもない。

というか、どうにかなるならさっさとしろ、という話である。

宿題とさせていただけないか。

 

当職のブログは、まだまだ読者が少ないのであるが、

ありがたいことに読んでくださっている方もいる。

大変うれしいことであるし,励みにもなる。

ブログを作るのは初めてなので,

読んでくださっている諸賢にどのように報いるべきなのか,

悩ましいところである。

 

ただ,さしあたり,感謝の気持ちを込め、

当職の思う「雰囲気」を少しでも伝えようと思う。

 

どうやって伝えるがが問題であるが、

1つ,当職が雰囲気を感じた漫画を紹介したいと思う。

 

今回ご紹介するのは,

椎名高志著「GS美神 極楽大作戦」

である。

 

ここまで構えて少年誌の,しかもそれかい!

との声が聞こえてきそうであるが,いやいやなんの。

少し古い漫画ではあるが,

昔読んだことがある方も,まだ読んでいない方も,

興味をお持ちになられたら是非(再度)読んで頂きたい一作である。

 

<成分>

絵柄 ★★★☆☆

良くも悪くも,昔の少年漫画と言える絵柄。

現行の漫画と比較すると,

どうしても古臭さを感じてしまうのは否めないかもしれない。

読みだすと気になることはないと思う。

 

ストーリー ★★★★★

基本的には,複数話で一つの話が完結するが,

時に長編にわたるケースもある。

タイトルのとおり,悪霊退治という霊的ファンタジーをテーマにしており,

そのあたりは最後まで一貫することになる。

後に詳述するが,一言でいって,

少年漫画として欲しいところを全て備えているといっても過言ではない。

高い水準にあるといえる。

 

バトル ★★★★☆

「軍鶏」のようなリアル路線ではないものの,

一見してどのような動きをしているのかわかり,

かつ,迫力のある展開を魅せることができるあたりは高評価できよう。

 

エロ ★★★☆☆

まぁ,少年誌ですから。

一応,お約束は守っていただけている。

 

<ここが凄い!>

この漫画の凄いところは,冒頭にも記載したとおり,

溢れんばかりの「雰囲気」である。

無論,少年漫画として備えるべき各種の要素,

すなわち,バトル,エロ,恋愛,強さの覚醒,魅力あるサブキャラなど,

全てにおいて高水準を保っていることは勿論,その上で,

何か余韻として残る雰囲気を感じさせる漫画なのである。

当漫画,単行本が39巻出ている比較的長編漫画なのであるが,

全編通じて十分に楽しめるものになっている。

 

<一言進上>

マンガにおける雰囲気とはいったい何なのか。

それは,一言で申し上げると「精神の奥行」ではなかろうかと思う。

例えば,水墨画などを想像してもらいたい。

白紙に白黒の線を一本描くだけで,

そこに靄のかかった山々が精神上に現れるのである。

1つの表現であっても,読み手の想像力に訴えることで,

複数の表現を生み出すことができるのである。

 

少しわかりにくかったかもしれない。

例えば,Aという人物がBという人物と交合するシーンがあったとしよう。

これを表現するのに,キスをして服も脱がせて,嬌声を上げなければ,

交合したことがわからないだろうか。

手をつないだ次のコマには,裸形で寝ているAとBがいて,朝を迎えていれば,

読者はおそらく,嗚呼,AとBは交合したのであろうと想像するはずである。

 

以前に少し述べたが,マンガは画と文章による総合芸術である。

何気ない一コマ,何気ない一言によって,

読者にえも言えぬ精神の奥行を感じさせる作品が,

「雰囲気ある作品」といえるのではなかろうか。

 

<最後に>

今回ご紹介した作品は,ゴリゴリの少年誌漫画でありながら,素材を生かし切った「雰囲気」を感じさせる漫画である。

興味を持った諸賢は,是非とも一度手に取っていただきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ミカン箱5】マンガ大賞にノミネートされた作品群・1次選考作品 その3

昨日に引き続き、マンガ大賞にノミネートされた作品群について寸評しようと思う。

乗りかかった船である。もうやりきってしまおうと思う。

 

久住昌之水沢悦子著「花のズボラ飯

★★★★★

最近はやりのご飯系マンガ。

当職が読んだ中では、ご飯系マンガの中で一押しの一作。

絵柄はかわいい系であるものの、

展開の勢い、絵柄といい意味でのギャップを感じさせる大人な雰囲気、

妄想を絵にして視覚に訴える構成力、果ては顔芸など、

パワーゲームでグイグイ押してくるのであるが、

そのあたりのバランスが非常にいいため、押し切られてしまう。

パワーゲームができるのも腕である。

端的に、面白いといえるマンガ。

 

久住昌之谷口ジロー著「孤独のグルメ

★★☆☆☆

ご飯系マンガの火付け役?

リアル路線の絵柄に、徹底してシュールな雰囲気は、

合う人には合うのかもしれないが・・・。

スーツ姿のおっさんが淡々と食事をする様は、確かに他の追随を許さない独自路線。

当職にはちょっと合わなかった。

ただ、当職の職場では、ひとときそのシュールさから本作が話題になった。

やはり、話題性としては相当なものがあるのかもしれない。

 

かわぐちかいじ惠谷治空母いぶき」

★★★☆☆

 ジパングで高名なかわぐちかいじ先生らの著作。

現行日本国憲法で、専守防衛のためとはいえ、

ミサイルの発射ボタンを押すとはどのような重みを持つのか、

ひしひしと伝わる臨場感があり、著者の腕を感じさせる。

ただ、どうにも展開が遅々としており、

単行本1巻あたりのストーリー密度は薄め。

もう少しスピード感を出してもらえるとより高い評価になると思うのだが。

 

明仁著「ストラヴァガンツァー異彩の姫ー」

★★★☆☆

ファンタジー系の剣劇マンガ。

デッサン力や人物を魅力的に描く腕については高く評価できる。

もっとも、一歩間違うと女の子が可愛いだけの漫画になりうる危険性を秘めており、

ストーリー展開にについてはあと一歩ほしいところである。

女の子が可愛い、というのは漫画、現実社会、いずれにしても重要なのではあるが。

 

コトヤマ著「だがしかし」

評価対象外

1巻だけ軽く読んだ。そのため、評価できるほどの読量がない。

ただ・・・なんとなく続巻を読む気にならなかったので合わなかったのだろう。

 

吉元ますめ著「くまみこ」

★★★☆☆

文字通り、くまと巫女のほのぼのコメディ。

決して悪いわけではないし、面白くないわけではないのだが、

振り切った要素がないため、当職としては少し物足りない。

読んで損をするような感じではないが、

かといって特筆するところもないように思った。

アレルギー反応が出にくいという意味では、万人受けしそう。

 

たかぎ七彦著「アンゴルモア 元寇合戦記」

★★★★☆

歴史戦争系漫画。

なんか色々と皇国の守護者を思い起させるキャラ、展開は、

当職としては嬉しいところなのだが、何か理由があるのだろうか。

そもそも、元寇あたりに着目した歴史漫画は少ないので、

今後もディープに描写していってほしいところである。

今のところ、歴史戦争系に興味がある方にはおすすめできる。

以前にも申し上げたが、皇国の守護者、続きやってくれないだろうか。

絶対に買うから。

 

東村アキコ著「雪花の虎」

★★☆☆☆

歴史系の漫画。

これまで散々と題材にされてきた上杉謙信が主人公であり、

なおかつ、上杉謙信女性説を採用したもので、

上記アンゴルモアと比べて、比較作品が多いことから勇気あるテーマ設定といえる。

中身であるが、率直に申し上げて、なんか物足りない。

すべて想像の範囲内であり、ぶっ飛んだところはない。

上杉謙信自体が、神秘性のある戦国武将であるから、

そちらに特化してもいいだろうし、

はたまた「人間」としての上杉謙信に迫るのもいいだろうし、

どちらでもいいのだけれど、なんか普通。

競合する作品が多い中で、これからどれだけ光を発することができるのかは期待。

 

田亀源五郎著「弟の夫」

★★☆☆☆

タイトルだけでも二度見してしまう異色のトランスジェンダー作品。

よくあるBL漫画とは一線を画する、同性愛者の家族を描いた異色作。

思った以上にまじめであり、

人権系の啓発に使用されてもいいのではないかと思うレベル。

その一方で、まじめが高じて漫画としての面白さはどうなのかとは思う。

もう、方向性がそっちなら当職から言うことはないが。

なお、1巻の表紙をとると、なんでその絵にしたのと思わざるを得ない絵が記載されている。

 

安田弘之著「ちひろさん」

 ★★★☆☆

問題作「ちひろ」の続編ともいうべき漫画。

絵は思った以上にちゃんとしていない、ちびまる子ちゃん系。

読みだすと気にならないが。

独特の雰囲気漫画なので、合う人には合うのかもしれない。

当職はあんまりぐっと来なかったというのが正直なところ。

きっと、当職が主人公「ちひろ」について、

前作からあまり共感できていないからかもしれない。

「ちひろ」が気に入った人は購入すべし。

 

ヤマザキコレ著「魔法使いの嫁

★★☆☆☆

文字通り、魔物×少女という萌設定系の漫画。

絵柄は普通。

面白くないわけではないが、引き付ける雰囲気は感じられなかった。

設定や系統で好きな方にはアリかと思う。

同系統の漫画がお好みなら、暮石ヤコ著「ソマリと森の神様」もあるのでぜひ。

 

恵三郎・草水敏著「フラジャイル 病理医岸京一郎の所見」

★★★★☆

医療系の漫画は数多くあるが、病理医というところに着目した異色作。

専門の人から見たらどうなのかわからないが、

素人の当職が見る限り、内容はわかりやすく、絵柄はマイルド、

引き付ける展開などは高い評価が与えられて然るべき。

多くの要素において平均値以上のものがあるといえる。

 

山田参助著「あれよ星屑」

★★★★☆

太平洋戦争終結直後の日本を描いた漫画。

なんとなく雰囲気にマッチした絵柄や、妙なリアリティを感じさせる展開は、

上記テーマを生かすものとなっている。

暗いストーリーであるものの、無理なく陽気さも出しているあたり、

今後もっと高評価されるポテンシャルがあると思う。

当職がこっち系の漫画好きという偏向評価は否定しない。

 

岡本健太郎著「山賊ダイアリー

★★★★☆

著者がマジモンの猟師で、どっちかというと漫画が副業という、

これ以上ないリアリティを持つ漫画。

日本でこんな生活をしている人がいるなんて。

山賊と書いてあるものの、ちゃんと法令順守しているみたい。

本人の体験をそのまま描くわけであるから、非常に勉強になるし、

説得力がすさまじい。

絵は若干拙いところもあるが、読むには問題ない。

ついでにいえば、話にもまとまりがあって非常に読みやすいというのもポイント。

こういう生活、大変なんだろうけどちょっとうらやましい。

 

竹良実著「辺獄のシュヴェスタ」

★★★☆☆

歴史残酷系漫画。

・・・が、思ったより残酷要素が低めの漫画。

はじめの勢いが最近はちょっと低迷気味かもしれない。

ライトな残酷系をお好みならおすすめできる。

過激な残酷系を読みたいなら、

沙村先生の「ブラッドハーレーの馬車」を読むか、

山本英夫先生の「殺し屋1」を読んでもらったほうがいいかも。

しかし、上記2作品はマジなやつなので要注意。

 

梅木泰佑著「あせびと空世界の冒険者」

★★★☆☆

コテコテのファンタジーだが、結構面白い。

ストーリーに安定感があるので、平置きを見て「ん?」となった方は

読んでみても損はしないと思う。

話の展開が良好なので、期待は裏切らないが、

漫画から漂う雰囲気はあと一歩。

 

河本ほむら・斎木桂著「賭けグルイ」

★★☆☆☆

嘘喰い」をライトにした雰囲気の漫画。

上記「嘘喰い」にドはまりした層にはいけるかもしれない。

しかし、この手の漫画はだんだん何でもありになってくるので、

どんでん返しの迫力が希薄化してしまうのはどうにかならないのだろうか。

結局、なんかよくわからない逆転ゲームだと、

読んでいて「おおおお!」とならない。

ちょっと辛口すぎるかな。

 

山下和美著「ランド」

★★★☆☆

まだ展開がよくわからないので、どのようにカテゴリーしていいかわからないが、

ミステリー?というべき漫画か。

このあとどうなるのだろう、という吸引力はそこそこあると思う。

しかし、気になって気になって仕事が手につかない・・・というほどではない。

いや、気になっても仕事はしないといけないのであるが。

 

清水茜著「はたらく細胞」

評価対象外

1巻だけサラリと読んだ口の漫画。

白血球など体内細胞を擬人?化したものであるが、

うーん、なんともかんとも。

当職には合わなかったとしか言いようがない。

 

<小括>

冒頭にも記載したが、やりかけたのでとりあえず最後まで寸評させていただいた。

どうしも、好みに偏りがあるので、あくまで評価は主観に基づく。

少しでも諸賢の参考になれば幸いである。

【ミカン箱4】マンガ大賞にノミネートされた作品群・1次選考作品 その2

引き続き,マンガ大賞1次選考にノミネートされた作品のうち,

当職が独断と偏見で読み散らし,かつ独断と偏見で寸評を加える,

自己本位なシリーズを継続する。

 

志村貴子著「淡路百景」

★★☆☆☆

人間ドラマ系の漫画。

合う人には合うのかもしれないが,人間ドラマとしてもちょっとパンチが足りないように感じた。

アッサリ透明スープのラーメンを頼んだら思った以上にアッサリしていて物足りなくなった感じか。

当職には合わず。あんまり印象に残っていない。

 

松本次郎著「女子攻兵」

評価対象外

当職,松本次郎先生の漫画は非常に好きなのであるが,

この漫画だけはあまり継続して読んでいないのである・・・。

読量が少ないため評価対象外とした。

なんで読んでいないかと言われても非常に困るのであるが,

なんか初めの1,2巻を読んで,ちょっと違うかな,と思ったのが原因・・・。

いやいや,松本先生の漫画は素晴らしいのですよ。

面白くなかったから読まなくなったわけでは・・・。

イヤイヤ・・・。

 

浅野いにお著「デッドデッドデーモンズデデデデストラクション」

★★★☆☆

良くも悪くも浅野いにお先生の作風を全面に押し出したもの。

おやすみプンプン」などが合う人は是非とも読んで頂きたい。

相変わらず,独特の丁寧な絵柄と若干の狂気は浅野ワールドといえ,

浅野ワールドに期待する人には十分おすすめできるところである。

ただ,当職の求める狂気とはちょっと違うところがある。

もうちょっとシュールな感じの方が,当職は好きかもしれない。

なお,浅野いにお先生の漫画の中では,

当職「ひかりのまち」が一番好みである。あわせておすすめしておく。

 

おざわゆき著「あとかたの街」

★★☆☆☆

戦時中の銃後の人々を中心に描かれた漫画。

当職としては,好きな時代設定であるし,着眼点はいいものの,

優しすぎる絵柄と相まって,どうにも戦時下の陰惨な雰囲気が今一つ。

ストーリーも,想定の範囲内の残酷さというか,

予想外の地獄はなく,迫力に欠ける。

 

大久保圭著「アルテ」

 ★★★★★

万人受けしそうな絵柄に,思った以上のスポ根系の爽快ストーリーは,

当職のみならず,多くの人を虜にしてもいい漫画。

なんとなく「ロミオの青い空」を彷彿とさせる時代背景は,

さらに当職の好みとするところである。

ほんの少しだけ読者の期待を上回る展開が続き,読んでいて気分がいい。

今後の展開にも十分期待できる。

全てにおいて高水準の漫画。

全然関係ないけれども,大人になってから「ロミオの青い空」を見て泣いてしまった。

子どものころは泣かなかったのであるが。

おっさんになると涙腺が緩むのか。

あわせておすすめしておく。

 

中島三千恒著「軍靴のバルツァー

★★★★★

★5つは当職の好みであるというところが大きいか。

以前にも少し紹介したが,ナポレオン時代あたりの本格ミリタリー漫画は少ない。

長谷川哲也先生の「ナポレオン」は中身がちょっと北斗の拳すぎるし・・・。

丁寧な仕事振りは非常に好感が持てる。

ミリタリー好きにはおすすめできる。

 

雨隠ギド著「甘々と稲妻

★★☆☆☆

ごはん×子ども×JKという最近のトレンドにはガッツリ合致した漫画。

・・・が,当職の好みにはどうにも合わなかった。

子どもと向き合うなら向き合うでいいし,

徹底して飯に取り組むなら取り組むでいいし,

JKと恋愛?するならそれはそれでいいし・・・・

なのだが,どれもこれも当職の求める要素を振り切る部分がない。

いや,トレンドからすればそのような漫画のほうが売れるのかもしれないが。

 

佐々大河著「ふしぎの国のバード」

★★★★★

以前にもご紹介した未完漫画のエトワール。

丁寧な仕事振りと,人文地理,民俗学に着目した着眼点は素晴らしい。

素材を上手く生かしていると思うところである。

最近発売された2巻も大変良かった。

是非ともこの調子でやってほしい漫画。

話の内容や絵柄などから,

今後「万人受け大賞」にランクインしてもおかしくないと思っている。

ただ,続巻ペースが遅いのが・・・。

 

曽根富美子著「親なるもの断崖」

★★★★☆

人身売買,廓をテーマにした作品。

色々と昔の雰囲気を漂わせているが,読みだすと手が離せない吸引力がある。

どうにも救われない雰囲気,陰惨なストーリーは一見の価値あり。

もっとも,後半に至ってちょっとよくわからない感じになったので,

★を1つ減らした。

 

入江亜希著「乱と灰色の世界

★★★☆☆

エンターブレインのファンタジー。

特段悪いようなところは見当たらないし,

面白いと言えば面白いのだが・・・・。

一言で足りないところをいえば,「雰囲気」かもしれない。

絵も下手で,ストーリーもあんまりな漫画でも,

ときにグイッとくる雰囲気を有しているものがある。

この漫画,絵もストーリーも構成も悪くはないのだが・・・。

 

<小括>

せっかく一次選考作品の寸評をはじめたので,もうやりきってしまおうと思う。

しばしお付き合い頂きたい。

 

 

 

 

【ミカン箱3】マンガ大賞にノミネートされた作品群・1次選考作品 その1

昨日に引き続き,漫画大賞関係作品をご紹介する。

1次選考作品については,相当数あるため,少しずつ,かつ,読んだことのある漫画をご紹介していくことにする。

 

再度予めお断りしておくが,当職は一介の漫画好きに過ぎないため,

偏った趣向で好きな漫画を読み散らしているに過ぎない。

したがって,1次選考作品を網羅的に読了しているわけではない。

大変恐縮であるが,あらかじめご了解されたい。

 

漫画大賞ホームページ上に記載されている,1次選考作品中,

左上から順にご紹介して行こうと思う。

 

樫木祐人著「ハクメイとミコチ」

★★★★☆

左上からご紹介,などと大上段な態度でスタートしたものの,相当数の漫画を読んでいなかったため,いきなり大分飛ばして本作品。

絵柄について,キャラクターは可愛い系ど真ん中,マスコットキャラ的な書き方である。

他方,キャラクター以外の絵柄は,超絶技巧。

嘘のような上手さで密度の濃い絵柄である。

ストーリーは,主人公たちのものづくりな日常を描くものであり,ほのぼの系の漫画。

たとえるならNHKの「猫のしっぽ カエルの手」的な日常である。

ストーリーらしいストーリーはないし,物語に大きなヤマはないが,

優しい気持ちで読める漫画。万人受けしやすそうと言う意味では今後ランキング入りするかもしれない。

しかし,この作者,絵がうますぎる。

 

三浦靖冬著「薄花少女

★★★★☆

見た目は少女(幼女?)中身は老婆という特殊設定の漫画。

以前少しご紹介した。

独特の絵柄は,三浦先生ならではの雰囲気を出しており,

ハマる人にはガッツリハマると思われる。

もし興味を持たれたのであれば,是非一度試し読みなどしてみてはいかがであろうか。

ストーリーは,基本的に穏やかそのもの。

今のところラッキースケベ未満レベルの接触しかない。

 

中田春彌著「Levius est」

★★☆☆☆

なぜか逆びらき?の漫画。

通常と逆に読むためちょっと戸惑う。

絵は当職が好きなガサガサ系の絵柄だが,ちょっとわかりにくいところがあるかも。

絵は上手いのだろうし,センスも感じられるが,

もう少しわかり易さを追求すると読みやすくなるかもしれない。

弐瓶勉先生の「バイオメガ」「アバラ」「BLAME!」→「シドニアの騎士」的な化け方をすればバカ売れしそうな気がする。

 

綿貫芳子著「オリオリスープ」

★★☆☆☆

最近はやりの食べ物系漫画。

絵は魅力的だが,ちょっとストーリーはまだかなぁ,という感じ。

どうにもこうにも,印象が少ない。

とっつきは良さそうなので,今後に期待か。

 

高橋慶太郎著「デストロ246」

★★★☆☆

ヨルムンガンド」の作者の作品です,と言った方がわかり易いかも。

女の子×バトル系の漫画で,ヨルムンガンドの萌的要素のみ抜き取った感じの漫画か。

それゆえに,ヨルムンガンドよりニッチな層に受けそうな雰囲気。

ヨルムンガンドの女性キャラに魅力を感じる方なら万歳三唱,

それ以外の方ならちょっとおすすめは出来ないかもしれない。

ミリタリー的要素はあまりない。

 

梅田阿比著「クジラの子らは砂上に歌う

★★★☆☆

少女マンガ系の絵柄だが,独特のいい雰囲気を出している。

・・・が,あと一歩足らないような気がするのは当職だけか。

ストーリーも展開も描写も,

いささか少女漫画臭が抜けきらず,

それゆえにせっかくのストーリーについてパンチが足らない。

絵柄や雰囲気はそのままに,展開やストーリーをジブリ系に昇華させていった方がいいのではないか,と個人的には思う次第である。

 

山口貴由著「衛府の七忍」

★★★☆☆

シグルイ」の作者の作品と言った方がわかり易いか。

良くも悪くも,絵柄,雰囲気は「シグルイ」の残酷系を踏襲している。

したがって,「シグルイ」が合う人には合うと思われる。

ただ,原作のあった「シグルイ」と比較すると,

少々ストーリーの厚みに欠けるところがあると思われる。

続巻に期待か。

 

久慈光久著「ヴォルフスムント 狼の口

★★☆☆☆

ちょっと独特の絵柄で,西洋歴史残酷系の漫画。

刺激的な展開,適度なエロとグロ,と言うあたりは当職の好みである。

もっとも,もうワンステップ欲しいところではある。

そのワンステップは,おそらく人物描写ではないかと思う。

登場人物,特に男性登場人物にもう少し魅力的なのがでてくれば,

かなり良くなるのではないかと思う次第である。

 

速水螺旋人著「大砲とスタンプ

★★★★★

可愛い系の絵柄のミリタリー漫画。

以前にご紹介したので,割愛させていただく。

当職としてはおすすめできる作品。

 

岡田屋鉄蔵著「MUJIN-無尽ー」

★★☆☆☆

隻腕の剣豪,伊庭八郎をテーマにしたあたり,

当職としてはテーマ買いしてしまいそうな漫画。

ただ,剣豪系漫画としては狂気が足らず,歴史漫画としては展開が甘い。

往年の劇画系作家の先生方と比較してしまうと,どうしても展開に妙がない。

デッサン力の確かさはあるから,

もう少し狂気性を出してみてもいいのでは。

求道者とは,得てして狂気を秘めているものである。

 

<小括>

1次選考作品はかなり多数あるので,今後も折を見て寸評してきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ミカン箱2】マンガ大賞にノミネートされた作品群・ランキング入り作品について

毎年,一定期間内に単行本が発売された8巻以内の漫画について選考されるマンガ大賞

このマンガ大賞については,一部,売りたい漫画がノミネートされているのではないかとの批判もある。

 

果たして,大賞を得た作品は面白いのか,上位漫画は面白いのか。

検証の必要性があろう。

 

なお,当職は,一介のマンガ好きに過ぎないので,ノミネート作品全部を読んでいるわけではない。

そのため,寸評,紹介作品に偏りがあると思われる。

当職の趣味趣向に基づくものであり,あしからず了解されたい。

 

<大賞>野田サトル著「ゴールデンカムイ」

★★★☆☆

現在,ヤングジャンプで連載中の漫画。

金塊を巡るミステリー系の内容である。

絵柄は結構マイルド。シリアスかと思えば,随所にコミカルな要素を交えているあたりが万人受けしそうな仕上がりになっている。

・・・が,当職としては,ちょっとパンチが少ない漫画のように思う。

ミステリーならミステリーで,もっと謎めいた感じがしてもいいと思うし,

陰謀系なら陰謀系で,もう少し…という風に,

どの要素をとっても振り切れたところが無いように感じた。

及第点は与えられると思うが,ドはまりする狂気性は希薄。

あんまりヤバい作品を大賞にするのは無理なのかもしれないので,

「万人受け」という意味での大賞受賞なのか。

 

<2位>九井諒子「ダンジョン飯」

★★★★☆

一言でいえば,「綺麗かつ上品な魔法陣グルグル」といった感じ。

なんとなく王道RPGを思わせる世界観は,

子どものころ初めて魔法陣グルグルを読んだ時の心地よさに似ている。

絵は可愛い系だがしっかりした描きこみがなされている。

大賞受賞作品紹介の際にも少し触れたが,

上位漫画なだけあって誰が読んでもアナフィラキシーショックを催さないであろう,

マイルドかつ及第点以上の漫画。

この手の賞では万人受けする系の漫画が上位に入るのであろうか。

ゲーム的ファンタジー漫画は好きだけれども,最近流行りのネットゲーム内に紛れ込んでしまった系の漫画は堪忍,という方にはおすすめできるかも。

なお,魔法陣グルグルは,初期のころ絵も拙く,物語も行き当たりばったり感があったが,それを差し置いても独特の良い雰囲気があった。

中盤以降,だんだん絵も安定してきたが,それに伴って初期に備わっていた雰囲気も失われていってしまった。

はてさて,面白い漫画とは難しいものである。

 

<3位>石塚真一著「BLUE GIANT」

★★★★★

先日もご紹介したが,絵と文字で音を表現することのできる,

高い構成力の漫画。

詳細は前回の当職紹介記事に委ねるが,

まずもって面白いと言える。

 

<4位>三部けい僕だけがいない街

評価するほど読めていない。

当職,1巻をさらりと読んだだけなので,評価できるほどの読量がない。

ただ,以降読んでいないので,当職には合わなかったのかも。

 

<5位>全く読んでおりません。

 

<6位>沙村広明「波よ聞いてくれ」

★★★★☆

やっと,精神を加速させている系の漫画が登場。

ご存知のとおり,「無限の住人」で有名な沙村先生の作品。

ちょっとガサガサした絵柄は,作品の雰囲気にマッチしている。

ラジオをテーマにしていることもあっての怒涛の台詞回しは,

沙村先生ならでは。

会話の一言一言をじっくり味わって読んで欲しいところである。

全体的にシュールな雰囲気,ちょっとした狂気を秘めた登場人物たちは,

当職の好みとするところである。

ちょっと試し読みをしてもらって,興味を持ったら買ってもいいと思われる。

合わない人には合わないかもしれない。

 

<7位>眉月じゅん「恋は雨上がりのように」

★★★★☆

以前,少しだけご紹介した。 

JKがおっさんに恋する漫画。

上品な作品構成と,妙な力押しがないから読みやすい。

絵柄はマイルド系。萌や劇画系ではない。

ただ,最近の雰囲気からして,ちょっとヤマの作り方がどうかなーと思うところがある。

平々凡々とした優しい雰囲気の漫画ではあるものの,

決定的なヤマがないまま現在に至る感じである。

イレギュラーな恋愛をテーマにしているのであるから,

太平楽なことばかりではあるまい。

もう少し,揺さぶりがあってもいいのでは?と個人的には思うところである。

 

<8位から11位>

大変恐縮であるが,読んでいない。

 

<小括>

読んでいない作品も多いため,何とも言えないところがあるが,

総じて,各要素に振り切ったところがあまりない,アレルギー反応を起こしにくい漫画が多いように思った。

辛口にいえば,「面白くないことはない」と述べるにとどまり,

端的に,個人的にであっても「面白い!」と断定できる漫画が少ないように感じた。

確かに,ランキング入りするということは,それだけ多数人の支持が必要なのであろうし,そうなると狂気じみたニッチな層にのみ受ける漫画が影をひそめるのは必然である。「万人受け大賞」とでも題するべきか。

 

読んでいない漫画があるのでどうかとも思うが,当職としては

<大賞>石塚真一著「BLUE GIANT」

としたいところである。

 

なお,また今度,別の記事において1次ノミネート作品の中からもご紹介申し上げたい。

 

 

 

 

 

【漫画の処方箋】羽海野チカ「三月のライオン」石塚真一著「BLUE GIANT」

いったい,何を漫画にすれば面白いのか。売れるのか。

おそらく永遠のテーマであろう。

 

かつて,バスケットボールを漫画にしても売れないと言われていた。

しかし,このジンクス?を打ち破り,井上雄彦先生のスラムダンクは大ヒットした。

つまり,面白いのである。

 

以前,殺し屋1をご紹介した際に,

「表現の威力」について言及させてもらった。

漫画というのは,絵,文章,コマ割りなどから読者に物語を投影する総合芸術と言えるものである。

したがって,作品の「テーマ」に拘らず,

上手い著者にかかれば面白い作品にすることができるのである。

 

漫画のテーマについて「難しい」というのはどういうものであろうか。

1つ考えられるとすれば,

漫画は,基本的に視覚に頼るものであるから,

「視覚で表現しにくいこと」

だと思われる。

 

その他で難しいと思われるのは,

[読者がとっつきにくいテーマ]

である。

例えば,珍しいテーマの漫画としては,

末次由紀著「ちはやふる」が挙げられる。

この高名な漫画は,ご存じのとおり百人一首かるたをテーマとしているもので,

他に類を見ない珍しい世界を題材にしている。

野球やサッカーなどのメジャースポーツ,

歴史,恋愛,魔法等・・・わかり易いテーマに比べて,

読者層のとっつきにくさは想像に余りある。

 

ところが,この「ちはやふる」,見事にテーマを昇華させ,

面白い漫画に仕上げた。だいたい1巻に1度は涙腺を緩めるポイントがある凄まじい上手さである。

以前にも少しご紹介したが,とんでもないパワーゲーム臭のする作品構成であるが,

力押しで泣かせてしまうあたりは著者の腕前を示すものであろう。

本記事においても,あわせておススメしておくことにする。

 

さて,今回ご紹介のテーマは,

「漫画にしにくいテーマで面白い漫画」である。

そのテーマに沿って,2作品をご紹介することにする。

 

羽海野チカ著「三月のライオン」

★★★★★

若くしてプロ棋士になった少年と,その周囲の人間模様をテーマにした漫画。

絵柄はマイルドというより可愛い系の漫画。

その絵柄は,勝負事やシリアス展開でも不要な陰気さを出さない要因になっており,そのあたりが万人受けしそうなところ。

当職としては,松本次郎先生作品のように暗め漫画が大好物なのであるが,正直いって暗い漫画はニッチな層には受けるものの,万人受けはしないだろう。

現役プロ棋士の監修を受けていることから,将棋の盤面描写についてはかなり本気。

ただ,当然のことながら,将棋のことを分かって読んでいる人がどれだけいるのかという点,将棋がわからないと作品の熱量が伝わらないのではないかという点が問題になる。

これらの点について,本作は,盤面を見てわからない層であっても十分漫画を楽しめるように作っており,極めて高度な作者の構成力をうかがわせるものである。

また,随所に丁寧な仕事振りがうかがわれ,非常に好感のもてる漫画。

作者が作品にどれだけ愛情を注いでいるのかが感じ取れる。

将棋がわかればなお面白いが,わからなくても面白い。

ヒットするのもうなずける。

 

石塚真一著「BLUE GIANT」

★★★★★

ジャズをテーマにした漫画。

当たり前すぎて書くのもどうかと思うが,

漫画からは音が聞こえない。

すなわち,文字と絵で音を表現しようというのであるから,

これを芸術と言わずしてなんというべきか。

よくよく読めば,

「バッバー」と描いてあるだけである。

しかし,多くの人間が一度はサックスの音を聞いたことがあるはずであり,

読めばその時の記憶と照合しながら脳内音変換させてしまう構成力がそこにある。

もし,サックスの音を聞いたことがない読者なら,

きっとツタヤでジャズのCDをレンタルしてしまうことであろう。

なお,当職は,かつてトランペットをたしなんでいたことがあり,

どうしても脳内において「バッバー」がトランペット音で変換されてしまい,窮した挙句,サックスのCDを聞き直した。余談失礼。

 

<結語>

今回ご紹介した2作品は,あえて紹介するまでもなく,いずれも大ヒットしている作品であり,諸賢であれば,読んでいなくても聞いたことがある漫画だと思う。

何かテーマがとっつきにくくて食わず嫌いをしているのであれば,

是非機会を見て読んでいただきたく思う次第である。

きっと,後悔しないはずである。